自家製リレーインタビュー Vol.3

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芥:今日はわたしがのなっさん(野中拓の意)にインタビューする感じです。おねがいしやっす。

野中:おねしゃーす。

芥:まずはね、野中拓を語る上で一番気になる話題があって。

野中:ほうほう。

芥:ホームシックについて聴きたいんですけど。

野中:どういうこと!?(笑)

芥:野中君いつもツアーに出るとホームシックになるって言ってるじゃん?

野中:めっちゃ言ってるわ!あれは本当にそうで、この前のツアーで言ったら北海道公演が終わってフェリーで仙台に向かってる途中で、めっちゃ家に帰りたいと思って!

芥:ツアー序盤も序盤の話じゃないですか。居心地が悪かったとか?

野中:なんかな、今回カプセルホテルみたいな部屋だったじゃない?横になってたら自分の家が恋しくなってしまって。

芥:それフェリー関係なくないですか?いつも言ってるし。

野中:そうやねんなあ。自分の家が一番やねん。自分のベッドが。

芥:ああ、わが家ナンバーワンなんだね。

野中:うん、わが家ナンバーワンやな。あとな、昔からね、実家に住んでる時とか、ちょっと遠くに帰ったら家に帰れるのかって不安に陥るねん。

芥:ああ、それはなんとなくわかります。

野中:今ではさすがに帰れるって思ってるけど、その時の気持ちが残ってるからかなあ。おうちに帰りたいって思うのは。

芥:天性のホームシッカーなんですね。

野中:(笑)

芥:逆にもう帰りたくないって瞬間は?

野中:そんな気持ちは俺には無い!!

芥:断言しますねえ。あ、それじゃあ人と一緒にいたいってことなのかな?

野中:人と一緒にいるなら朽ち果てるまで一緒にいたいし1人でいるなら朽ち果てるまで1人でいたい。

芥:ほう。。究極ですね。それじゃあ孤独に生涯を終えるか色んな人に見守られて生涯を終えるならどちら?

野中:あーー、行程が大事かもしれない。みんなでワイワイしてる環境から急に1人で死ぬのは嫌だし、逆にひっそりとしといてほしいのに人が沢山出てこられるのも嫌やし。

芥:両極端ですね。

野中:看取るなら瞬きひとつせず見とれよ!って思う。

芥:そうなんですね。それじゃあライブ中に一番幸せを感じる瞬間って?

野中:ライブ中はね、これきっとChantyのメンバーとけっこう一致してる気がするんだけど、明るい曲や動きのある曲でファンが楽しそうにしてる時も嬉しいんだけど、その時はどっちかというと「ああ良かった」とか「楽しいね」みたいな感じ。

芥:親心みたいな感じ?

野中:そうかも。幸せとなるとちょっと違って、なんかChantyで開ける曲ってあるじゃん?その日により曲も変わるから具体的に言葉にするのは難しいんやけど。セットリストの中で見てる人達の空気が変わるというか目が変わるというか、そういう瞬間ってない?

芥:ある!わかります!なんなんだろうね。

野中:わからんけど、そういう空気がガラっと変わった瞬間に一番幸せを感じる。なんか伝わってるのかもしれないって思える瞬間っていうか。昔、自分が楽器を始めた時に、そういう瞬間に立ち会えたり、人に何かを与えられたりとか、そういうことが出来るようになるって思ったことなかったから。

芥:確かにそうかもしれない。

野中:だから少しでもそれに近いことが出来てるんやったらって思うとそれは幸せやし。

芥:本当にわかるなあ。逆に開けると思ったら開けなかった瞬間とかもありますよね。

野中:うわーわかる!めっちゃある!(笑)その時はね、なんやろ、消えたくなるよね。

芥:難しいよね。どうしようって思います。

野中:楽屋に帰りたくなる。辞めたいとか思わんけど。

芥:なかなか簡単に計算できない難しさがあります。

野中:ライブハウスやその時に集まってくれた人との駆け引きみたいなところもあるしね。予定調和じゃないから楽しいねんけど。

芥:計算で思いついたんだけど、野中君がステージで必ずやってたり、自分をよく見せるためにやっていることってある?

野中:あーそれはないかも。よく見せようと思っても結局恥ずかしがりだから笑っちゃったりするから俺には無理だろうなあ。

芥:じゃあ逆に自分がやってしまったステージ上でのらしくないことってありますか?

野中:ある!Chanty始まった頃は俺お客さんに指さして「かかってこいよ!」みたいなモーションやってた!

芥:え!めっちゃ見てみたい!それはケミカルピクチャーズの時のスタイルがそうだったとか!?

野中:うん、やってたで。今は全くやらなくなったなあ。

芥:え、やったらいいじゃないですか。

野中:かかってこられても対応できないからな。

芥:そういうこと!?(笑)

野中:まあ、冗談だけど「かかってこいよ!」は千歳くんに任せて別のことに専念しようって思った部分もあるかな。

今のステージだと上手はVRで下手は8ビット。

芥:ポリゴンの世界(笑)

野中:いや、8ビットは8ビットの良さがあるから。

芥:まあそれは確かに(笑)じゃあステージ上でのジンクスとか、心がけていることってある?

野中:ジンクスじゃないかもしれないけど、完璧な演奏をしようとは一切思っていないってことかな。前からたびたび言ってることかもしれんけど、全ての曲をミスせず完璧に弾けましたってライブが毎回続いてもつまらんと思うねんな。自分がお客さんとして見てたら、そんなん嫌やし「今日はあそこ弾かんかった」「今日あそこアレンジ違った」とか、例えばそれがミスだったとしても今日しか観られんかったライブ感があるならそれでいいんじゃないかな。俺はそういう部分を大切にしてる。

芥:ミスも含めてライブっていうのはよく言うもんね。

野中:その日その時しか出来なかったものが出来たらアツいよね。最近だったら福岡でワンマンした時にベースが鳴らなくなって、そこから俺以外のメンバーが即興で曲やりだしたらいつの間にかベルの曲になってたり。あの時はベルにお世話になりました。

芥:そんなことあったね。BCDのおかげでした。ちなみにさっきの質問と似てるかもしれないけど、ライブをやってる時の到達点はどんなところで感じる?

野中:到達点かあ。Chantyでよくある気分的に下がるというか、落ち込むセクションってあるじゃん?そこから抜け出して、何か開けた感じがする時かなあ。落ちていくセクションはお客さんの目線もすごく辛そうだったりして俺自身も辛くなってしまうこともあって。でもそれがChantyの醍醐味だと思うし、そういう瞬間がChantyでメンバーとお客さんがシンクロするというか、一番ぶつかる部分だと思う。

芥:それはメンバー同士共通認識な気がするよね。でもさ、よくよく考えたらChantyって活動開始からそういうアプローチが強いバンドってわけじゃなかったじゃない?のなっさんの中でこの時期らへんからそういうアプローチに目覚めたって思ったことってある?

野中:あーそれ考えたことないかも。気付いたらじゃない?あ、でも忘れられないライブってのがあって、1周年のWESTで透過幕越しに「奏色」を演奏したあと「フライト」やったじゃない?あれは鳥肌がたった。

芥:わかります!

野中:あー音楽やってるぞって思った。なんか忘れられないねんな。

芥:「奏色」は暗いわけじゃないけど、あの時の開け方がその後のChantyを作るきっかけの一つなのかもしれないね。

野中:あの曲はお客さんに向けてのメッセージ性も高いしね。グッとくるものがある。

芥:ありがとうございます。さて話題を変えまして。のなっさんにとって一蘭は果たして本当にナンバーワンのラーメンだと思いますか?

野中:いきなりすぎるやろ(笑)あんな、一蘭についてはちょっとアツく語らせてもらうけど大丈夫?

芥:お願いします。

野中:一蘭についてはね、味もそうなんだけど、味集中システムが大好きなんだよね。1人でご飯とかぜんぜんいくけどさ、いつ何時も人の目を気にする人間で。

芥:そんな野中君にとって味集中はもう。。

野中:救世主です。だからそれを含めて一蘭が好きやねんな。

芥:じゃあラーメン協会があったとして、オリンピックに向けて味集中システムを全国のマストにしましょうってなった場合は、味だけで言ったら一蘭に食い込むラーメン店ってあるの?

野中:そうなると武蔵屋(家系ラーメンのチェーン店)だね。麺固め味濃いめ油多めほうれん草トッピング。

芥:全部ですね。

野中:ご飯をもらい、スープにつけたノリでご飯を半分くらいいただき、麺が無くなってきたところで汁をご飯に入れて食べる。

芥:ああああ、いいですね。じゃあ武蔵屋に味集中システムが導入されたら一蘭は負ける?

野中:それも難しいところなんですよね。なんかな、ジャンルが違うんだよね。猫と犬みたいな。

芥:あーなるほど!わかりやすい!

野中:難しいねんな。

芥:なるほどですね。のなっさんは何にでもいいところを見つけるのがいいところだと思うんだけど、博愛主義みたいなところってない?例えばライブとかで、みんなが今日駄目だったって言ってる時に「俺はここが良かったと思う」って言うことが多いなと思って。

野中:ああ、確かに、俺多分どっちかというとネガティブが少ないんだと思う。最悪な事態が起こってもどこか良いところを探すクセがあるんよね。小学校の時からずっとそうかも。学生の時とか嫌なこととかあっても「まあ友達と遊ぶの楽しいからいいか」とか、自分の救いの部分をイメージしたら大丈夫だって思ったりするみたいな。ネガティブなポジティブやと思う。基本「もう八方塞がりだ」って思ったことは人生でないかも。

芥:確かにこのバンドでも色んな危機があっても投げ出してるイメージはないもんね

野中:すごい大きな問題でも「そんな大げさな問題でもなくない?」って思うところがあって、わりとこうすればいいって答えはすぐ見つかってて。。その答えに向けてどうやっていくかみたいな「そんな難しく考えることじゃないよ!」って。

芥:あー確かに、そう考えたらガイドラインをひこうとする性格なのかな?だからメンバーのパワーバランスが合ってるのかもしれない。引っ込み思案だけどみんな我が強いとこもあって個性が強いから。

野中:成人君なんて一番冷静というか、みんなが悪ノリしそうになってもちゃんと止めてくれるところもあるしね。

芥:その分千歳君はうちらの引っ込み思案な部分を解放してくれるブースターみたいな感じかもしれないよね。

野中:時にブーストしすぎて転がっていくからな(笑)わかりやすくて潔い!

芥:アクセルの加速がすごいと思います。

野中:ベタ踏みかブレーキだけやんな。0か100。

芥:あ、そしたら僕はなにかありますか?

野中:芥さん難しいねんな。ボーカリストって我が強くて自己中な人が多いイメージでそれは悪い意味ではなくて大切な事だと思うねんけど、芥さんはなんかボーカリストっぽくないボーカリストやと思う。

芥:あーよくいわれます。

野中:Chantyのブレインやと思ってるし芥さんはそれでいいと思う。

芥:ありがとうございます。でも先日のワンマンツアーで改めて、別に変わろうと努力するならこの性格で伸ばせること伸ばしたほうがいいかって思うようになりました。

野中:もう何十年も付き合ってる性格なんやし、そこを愛して伸ばせるところ伸ばしたらもっとバンドはよくなると思う。

芥:じゃあそんなポジティブな野中君が味わった人生一番の挫折ってあるの?

野中:あるよ!あんね、高校のころに原付のバイクの免許取りにいってん。誕生日が全く一緒の「たかし」っていう友達と。16歳になった瞬間から免許取りにいけるって知ってはりきって「たかし」と試験に行ってね。たかしは受かって。。

芥:ほう、もしや。。

野中:俺落ちた。

芥:(笑)

野中:その時は一回目だから対して気にしなかったんだけど、次また友達と免許取りにいってん。

芥:もう話が見えてきてます。

野中:俺だけ落ちてん。

芥:(笑)

野中:三回目は1人で行って。。

芥:お、ついに!!

野中:俺また落ちてん。

芥:挫折ですね。。勉強してなかったの?

野中:全くしてなかった!

芥:それ自分が悪いじゃん。

野中:二分の一ならいけると思って!国との戦いに負けたね。

芥:それは駄目な方に転がった前向きだね。

野中:人生唯一の挫折だねー。

芥:はい!ワンマンツアーも終わったけど、自分の中で見えたものってある?

野中:突然やなー。少し踏み込んだ話をすると、1人メンバーが減って初めてのワンマンツアーなわけですよ。5人中1人が減るって本当に大きくて、それまで5人で100%だったものが4人で割ると1人25%のパワーバランスになるでしょ?これってすごいことで。5人の時と全くと行っていいほど違う。

芥:確かに。正直BCDの時はもしかしたらなんとか形にできるかもって思ったけど少し違ったよね。

野中:あれは完全に仲間に助けられたと思う。今回ワンマンで回るってなると何もかもが違って、色んな角度で現実をつきつけられたこともあるよね。でもそこで明確になったパワーバランスが在ると思う。だから逆にワンマンツアーしなかったら気付けなかったり諦めたメンバーもいるんじゃないかって思ってる。そんなことも含めていいツアーだったなって思って。

芥:なるほど。なんだかそういうことを聞く機会もなかったのでなんだか嬉しいです。

野中:でも改めてこういうインタビューもいいね!今度は別のテーマや形式でやってみたい。組み合わせ変えたり。俺が成人君インタビューするのとかも面白そうやし。付き合い長いからね!

芥:今回は「たかし」さんも出てきたし、もはや皆さんご存知の野中家ご両親「いずみ」と「ひろし」などなど、これからも沢山の登場人物に期待しましょう。

野中:どんどん出してくわ!いっぱいいるから身の回りの面白い人!

芥:これからもそんな野中さんでいてください。どうもありがとうございました!