ライブレポ 「桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー2at千葉LOOK」

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2018年3月11日千葉LOOK

全13ヶ所14公演Chanty全国ワンマンツアー『桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー2』

 

 

2018年3月11日、千葉LOOKを皮切りに全13ヶ所14公演を行うChantyの全国ワンマンツアー『桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー2』が幕を開けた。

Dr.成人、Ba.野中拓、Gt.千歳が登場し、激しいリズムセッションを繰り広げ会場の熱を一気に上げると、最後に登場したVo.芥の「始めようか!」の一声で「m.o.b.」へなだれ込み、会場からはさっそく割れんばかりの声が上がる。そして「ミスアンバランス」、「やんなっちゃう」とフロアも飛び跳ねるアップテンポなナンバーが続き、冒頭から一気にボルテージを上げていく。「やんなっちゃう」では、いつも以上に気合を入れ会場を煽る千歳。それもそのはず、この日のライヴが行われている千葉は千歳の出身地ということもあり、千歳家一同でこの日のライヴを見に来てくれていたのだ。そんな千歳のご家族に「いいところ見せたいと思いませんか!?」と煽る芥に、フロアも精一杯の声と拳で答える。

 

 

MCでは「このロックの聖地にChantyで帰ってこれたことがマジで嬉しいです!ありがとう!!」と千歳。「本当に楽しみにしていたツアーです。今日はよかったね。(千葉LOOK)出たかったでしょ?」と芥の問いに、「すげえ出たかった。ずっと憧れだった。何回もこのライヴハウスに見に来たことがあるんだけど、ステージに立ったことはなくて。本当にマジで嬉しいです。

と舌っ足らずに興奮気味に話している様子からは、この場所にかける想いがいかに熱いものだったのかが伺えた。

 

 

「長いこのツアーの幕開けにふさわしい1日にしよう!!」と始まった「インピーダンス」はさらに盛り上げていくにはぴったりのポップロックなナンバー。「ミツケタ」は最新アルバムに収録されている新曲、ライヴで初めて聴くという人が多いであろう楽曲でもしっかりと遊びつくしていく様子が印象的だった。

 

 

ここまでアップテンポに展開されすっかりその波に飲まれていたが、楽器隊各々の音が際立ちながらもしっかり芥の放つ言葉一つひとつが意味を持って胸に響いてくる。「天翔る」、そして会場を色付けるような千歳の華やかなギターが印象的な「揺らめくあの日は万華鏡」を切なくも激しく届け、芥がギターを手に取り始まる「比較対象」。自身のかき鳴らすギターだけで歌い上げるイントロには毎度ギュッと胸をつかまれる。そのまま「貴方だけを壊して飾ってみたい」、そして猟奇的に「魔が差した」を放つと、「ひどいかお」「ソラヨミ」とお馴染みの楽曲も遊び心満載に繰り広げていく。

 

「叫べるか!吐き出せ!!」の言葉で始まった「無限ループ」、日々のくだらない鬱憤を晴らすかのように叫ぶ「俺を!しばく!」の独特のコール&レスポンスは、笑ってしまうくらいに楽しそうでいつも声を上げずにはいられなくなる。

続く「冤罪ブルース」、シャウトしたりジャンプしたりと一層テンポを上げ、そのまま「どいつもこいつも嘘つきだ!!」と「不機嫌」を叩きつけ、フロアも頭を振り乱し必死に食らいついていった。

 

 

芥がぽつりぽつりと口を開き始まった「冷たいてのひら」は、ゆったりと奏でられるメロディに包み込まれじわじわと温まるような、こんなにも優しい光を灯してくれる楽曲だったんだと改めて気付かせてくれるような演奏だった。

そしてラストに迎えた「最低」は、そんなタイトルとは裏腹に、晴れやかな最高の笑顔をもたらしてくれる1曲。雨が上がり、澄み渡った空を見上げまた歩き出そう、そんな気持ちにさせてくれるこの曲で本編は幕を下ろした。

 

会場いっぱいのアンコールの声に答え、1番に飛び出してきたのは千歳。

「千葉LOOKっていうところに帰ってきたというか、やっと立てたんですよ。(中略)メンバーみんなの気持ちで千葉LOOK初日っていう夢が叶いました。ありがとうございます。」と初日をこの場所で迎えられたことへの喜びと感謝を改めて語った。

この日、会場の外にはChatnyのワンマンツアーの特大ポスターが。「ツアーの初日にしないと作ってくれないんですよ!だから本当にスペシャルなものなんです。このポスターを全国持って回って、ファイナルでバーンと飾りたいなと思っています。千葉LOOKさんにいただいたポスターと気持ちと、メンバーの千葉LOOKをさせてくれた気持ち、そして今日駆けつけてくれたみんなの気持ち全部をよいしょと背負って、全国回っていくので、このツアーよろしくお願いいたします!

と千歳。この場所に立てたことが嬉しいのはもちろん、メンバーをはじめ色んな人の支えでこの場所に“立たせてもらった”そんな千歳の謙虚な思いが節々から感じられた。

 

最後に口を開いた芥は、「本当にね、幸せです。このツアーやるかどうかも悩むくらいみんなで考えたツアーだったんだけど、初日こうやって飾れて本当に嬉しかったです。(中略)2年前にもやった「桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー」ですごい残ってる言葉があって。熊本で、野中くんが前のバンドで熊本ワンマンやったって言ってて。MCでそれを塗りつぶすぐらいの時間を作りたいって言ったんだけど、その後野中くんが塗りつぶすんじゃなくて一緒に共存していくって言ってたんだよね。その時すごいハッとして。(中略)このツアーは2年前のあの時と同じタイトルだけど、それは塗り替えていきたいと思っているわけではなくて、改めて“2”と名付けた意味がファイナルまで実を結ぶように一緒に過去と未来と今を作っていけたらいいなと思います。」とこれから始まるワンマンツアーへの想いを伝えた。

 

そして、「アンコールも何曲か用意してるんだけど、今日やった新曲でやってみたいことがあって。俺のわがままを聞いてくれ!

ということで、アンコールは「魔が差した」からスタート。「折り畳む姿が見てみたい!」という芥のリクエストにファンもしっかりと答えると「ひさびさの曲いきますー」と言い放ち始まった「真相」にフロアから歓声が上がった。そして花粉症の君を歌った「ひどいかお2」と、バラエティに富んだ楽曲たちを畳みかける。

この日の最後を飾ったのは「フライト」。一度は諦めかけたワンマンツアーを、4人で前に進むと決めた彼らの門出を後押しするようにステージにはめいいっぱいの声が届けられ、

ファンに向け、これから始まる長いツアー“行ってきます”と全身で伝えるような清々しいラストとなった。

 

ツアー初日に初めての会場ということもあり、良い緊張感で本番に臨めたと語った千歳。本編が終わると「僕の描いていた想像以上のライヴになりました。これはみんなのおかげです。」と話していたが、これは会場にいた誰もが感じたはず。

新しいアルバムを引っ提げてのツアーとなるが、過去の楽曲たちがあっての今のChantyという彼らの想いが組み込まれたセットリストは、まだ新しいアルバムを聴いていない、そんな人でも十二分に楽しめる内容となっている。再び回る全国各地で、2年前と同タイトルに“2”と付けたこのツアーにどんな意味が込められてるのか、もしまだ迷っていたら是非足を運んで一緒に答えを探してみて欲しい。